「殺したい」
強烈なタイトルにしてしまったが、私の言葉ではない。 北海道にある私の実家には、北海道犬のよしきち(よっちゃん)という犬を飼っている。 私が実家に帰省すると、なぜか必然的によっちゃんのお世話が私になる。 今年のある夏の暑い日のこと。いつものように私はよっちゃんと散歩に外を出た。 学校帰りだろうか。後ろの方から男の子たちの楽しそうな声が聞こえる。 声のする方に目をやると小学校高学年くらいの男の子が4人いた。 よっちゃんは気にせずにずんずんといつもの道を歩く。 ふと4人の会話が止まった。「散歩している犬」に気付いたのだろう。 ある一人の男の子が、 「俺さー、犬見ると毒飲ませて殺したくなるんだよね。」 続けて他の男の子が、 「あはは!それサイコパスじゃん!サイコパス!」 はははと4人が笑う。 声が遠ざかって行く。 私は手に汗をかいていた。何だか胸の辺りが痛い気もした。 とにかく衝撃的だったのだ。 まさか何気ないいつもの犬の散歩中に「殺したい」という言葉が聞こえてくるなんて。 だけどそのくらいの年齢であれば、そういう言葉を言いたい年頃だよなあ。なんて思ったりもした。 もうあの子たちの顔は覚えていない。 きっとあの子たちも発した言葉を覚えていないだろう。 改めて言葉という大切さを知る。 「殺したい」と言ったあの子はどんな大人になるんだろう。 ひい.